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ご本家さまの昔のアートって、説明文イタリア語ですかこれ・・・。
「ニンフ」と「サテュロス」だけ判読できたんですが、どういうシーンでしょ。よくありそうなシーンではありますが。
ギリシャさーん! 解説プリーズ!
でもってさらによく見るとこれロマーノんちのですか。ギリシャ母さんの残していったものですね。
いっぱいあるんですよね。ああ見に行きたい。


以下、東京行ったときに拾ってきた小ネタ。
ただし、元になったネタはこれとは似ても似つかぬいい話であることを保証致します。
つーか季節はずれすぎます。ごめんなさい。






『願わくば花の下にて』

「ああ……。河が笑っているみたいですね」
河岸を埋め尽くすように咲き乱れる花を目を細めて見上げ、日本は呟いた。
アメリカは首を傾げて聞き返す。
「笑ってる?」
「ああ、申し訳ありません。私の家の表現です」
日本は柔らかに笑ってアメリカに視線を戻す。
「春になって、山々で一斉に花が咲く様を、私の家では山が笑うと表現するのですよ」
「山が、笑う……」
想像してみる。国中どこでも360度見渡せばひとつは山が目に入るような日本と違い、自分には思いつきそうにない表現だ。だが、例えば草原でいっぱい花が咲いている様子を思えば……
「へえ……すごく綺麗だ。日本語って面白いなあ」
「ありがとうございます。桜は本当に一斉に咲きますから、まさに山が表情を変えたように見えるんですよ」
「……今のここみたいに?」
「ええ。本当に見事に咲かせてくださいましたね」
ポトマック河の岸辺に植えられた、三千本の桜の樹。それはかつて、日本から贈られたものだ。
かすかに紅がかった白い花が、一斉に咲いて一斉に散る。その儚くも潔い様を、この島国は何よりも愛しているのだという。
「頑張って育てたんだぞ。日本がくれたんだし、一番好きな花だって聞いたし」
「本当にありがとうございます。……最初に贈った分が虫が付いて駄目になってしまったと聞いて、とても残念だったものですから───嬉しいです。……本当に」
「日本が喜んでくれたら俺も嬉しいぞ」
「では、その分私は二重に嬉しいのですね」
「俺がお返しに贈った花も、咲くようになったんだろう?」
「ええ。花水木───とても綺麗な花ですね」
「じゃあ、俺も二重に嬉しいぞ!」
日本は珍しく声を上げて笑った。
「もうすぐ咲く頃ですね。是非見にいらしてください、歓迎しますから」
「うん、行くよ。また一緒に見よう」
「ええ───」
日本は静かに花を見上げ、そして言った。
「是非一緒に、お花見をしましょうね」
「……は?」
意味不明の言葉に聞き返すと、日本はこれまで見たことのない心底楽しそうな笑みを浮かべていた。吸い込まれそうな闇色の瞳が、何だか底光りして見えて、アメリカは無意識に一歩引いていた。
「お花見ですよお花見。桜と言えばお花見に決まっています! 花を愛で、世の無常を知り、季節の移り変わりを想って親しい人々と語り合うのです!」
「は。はあ……?」
アメリカはさらに一歩引いていた。
「ええと、要するに、花を見ながらのピクニックをする習慣なのかな……?」
「そんな単純なものではありません。私の魂を表した伝統です。ああ、太平洋を越えた遠い異国でお花見ができるようになったなんて……国際交流って素晴らしいですね!!」
「…………」
国際交流ってそういうものだったっけか。て言うかこの花はまさかそのために。
「アメリカさん、花水木が咲く頃には是非私の家に来てくださいね。桜以外の花でのお花見も風流ですよね、ああ、今からとても楽しみです……!」
「そ、それは俺も楽しみだけど……日本、その荷物から滅茶苦茶手際よく取り出してるのは……」
「あ、アメリカさん、どれくらいお飲みになりますか? 欧米の方はお強いと聞いていますので多めに用意しまして、日本酒や焼酎はたくさんあるのですが、こちらのお酒はビールを少し仕入れてきたくらいで───ただ個人的に、ウィスキーやワインはお花見にはあまり合わないように思うのですが」
アメリカが呆然と見守る中、日本はすらすらとしゃべりながら背負っていた風呂敷包みを下ろしたかと思うと、凄まじい勢いで緋毛氈を敷き、あっという間にその上に包みの中身を広げてしまった。
「な、何をやってるんだい!?」
「何って、お花見ですよお花見。さあどうぞアメリカさんも、ああ、靴は脱いでくださいね」
「お花見って……あの、ここに大量に並んでる酒瓶は……」
「飲むに決まっているでしょう。お花見にお酒は欠かせませんよ」
何を当然のことをという口調で言われた。どう少なく見積もっても十本はある瓶、さらに大きな樽、見覚えのあるビールの缶もざっと二十缶ほどあるが───これを飲むのか? 全部? ふたりで?
「お酒が足りなければ買い足してきますから、どうぞご遠慮なく。食べ物はこちらの重箱にありますので───お口に合うと良いのですが……」
世にも珍しい満面の笑顔で日本は言う。
「ああそれから、ひとり最低三芸は披露する掟ですから」
「芸っ!?」
「よろしくお願いしますね。もちろん私も恥ずかしながら」
「……………」
もうどんな表情を作ればいいのかも判断できずに立ち尽くすアメリカに向かい、日本はもう一度最高の笑顔を見せた。
「ああ───本当に、綺麗な花ですね」


………季節外れもいいとこだ。
元ネタの桜と花水木の話は、普通にいい話なんですよ。ええ。
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