2007年3月スタート
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あー、なかなか小説が進まん・・・。
遅筆な自分が憎いです。 なかなか更新できなくて申し訳ないので、間に合わせに突発的に思いついた短文投下です。 マザー・グース大好き。 『ハンプティ・ダンプティ』 ハンプティ・ダンプティ へいにすわった ハンプティ・ダンプティ おっこっちゃった 奇妙な節回しで口ずさんだイギリスに、アメリカは訊いた。 「落っこちちゃうのか?」 「そう。ハンプティ・ダンプティは塀から落っこちる」 「へえ。痛そうだな」 「……痛いだろうな」 おうさまのおうまみんなと おうさまのへいたいみんなでも ハンプティをもとにはもどせない 「………もどせない?」 「そう。どんなにがんばってもハンプティを元には戻せない」 「落っこちたら壊れちゃうのか?」 「そう。壊れたら元には戻せない」 イギリスは微笑む。 「さあ、何だと思う?」 「え?」 「なぞなぞだよ。ハンプティ・ダンプティって何だと思う?」 イギリスはそう言って笑った。アメリカはおもちゃの兵隊を睨んで考え込んだ。きっとこれを見て彼はそんななぞなぞを思い出したのだろう。 「───塀から落っこちたら壊れちゃって、壊れたら元に戻らないの? 王様が命令しても? ………」 「分かるか? ヒントは───」 「いらない! 自分で考えるから!」 慌てて頭を振ったら、イギリスは楽しそうに声を上げて笑った。アメリカは一生懸命考える。 手元の兵隊を見る。もちろんこれが答えではないだろう。塀から落っこちたら壊れるかもしれないけど、壊れたらきっとイギリスが元通りに直してくれる。 じゃあ、何だろう。壊れたら元に戻らないもの。 「うー、ヒント……やわらかいものなの?」 「うーん……軟らかいとも言えるし、硬いとも言えるな」 「ええっ!? 何それ───え? もしかして……」 何かが見えた気がした。そうだ、最初にもうひとつヒントがあった。塀に座って、落っこちる。それはどうして? 「落ちるような、かたち……まるいもの?」 イギリスは微笑んでいる。これで合ってるんだ。アメリカは安心感から勢いづいてさらに考えた。丸いもの。落ちると壊れるもの。壊れたら元に戻らないもの。硬くて軟らかい───もろいもの。 不意に、全てのヒントがひとつのかたちになる。 「───卵」 「正解!」 イギリスが破顔して手を叩く。 「やった! 俺ってえらい?」 「偉い! すごいぞ、賢いなお前は!」 その笑顔が嬉しくて思い切り体当たりするように抱きついたら、大好きな兄は力強く受け止めてくれた。 「Humpty-Dumpty sat on a wall.……Humpty-Dumpty had a great fall.」 アメリカは小さく口ずさんだ。大西洋を隔てた隣国の、子どもの遊び歌。素朴で可愛らしくて、それでいてどこかひとを不安にさせる奇妙なメロディは、一度聞いただけで憶えてしまったものだ。 他愛もないなぞなぞの答えは、卵。けれどそれは半分だけの正解だ。 確かに卵を塀の上に乗せたら落っこちてしまうだろう。落ちたら、下にクッションでもない限り割れてしまって元には戻らない。けれど───そんなものは他にいくらでもあるじゃないか。 卵が塀から転がり落ちるのと変わらないような簡単な理由で、あっけなく容易く壊れてしまうものが。 「All the king's horses and all the king's men───Couldn't put Humpty together again.」 王様がどれだけたくさん馬や兵隊を送り込んできたって、一度壊れてしまったものは元には戻せない。また元通りに一緒になんて、もう絶対に無理なのだ。いや─── 「戻せないんじゃない。───もう元には戻らない。戻れない。……戻るもんか」 手作りのおもちゃの兵隊を、倉庫の奥にしまい込んで鍵をかけ、低く呟く。 今手に取るべきはおもちゃの兵隊なんかじゃない。本物の兵隊にならなければならない。 「ハンプティは元には戻らない」 アメリカはもう一度、今度は高らかに宣言するようにそう言った。 そうして、少年は銃を取った。 米英好きだー。より正確には、すれ違い兄弟愛が大好きだー。(趣味) ハンプティ・ダンプティは有名すぎますよね。 PR |
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