2007年3月スタート
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短文ー。
スペロマでヴェネロマですと言い張ってみる。言うだけはタダですよね。 私の中のロマーノはリトと張れるくらいにモテモテだ・・・ 『Time to say Good-by』 スペインは穏やかな目で相手を見つめた。 「───それで、お前はどうしたいん」 「どう、って……き、訊いてるのは俺だろ」 「決めるんもお前やんか。お前はどうしたいん。それが一番大事やろ」 「俺は………」 ロマーノは黙り込む。その顔が今にも泣き出しそうな幼い頃の表情と重なって見えて、スペインは伸ばしかけた手をとっさに抑えつけた。 「イタちゃんの言うことももっともやんか。半島統一したらそれなりの規模の国になれる。他の国にそうそう攻め込まれることもなくなるやろ。悪い話やないで」 「……だからっ! お前はそれでいいのかって訊いてんだよ!!」 ロマーノは突然爆発するように叫んだ。スペインはそんな子分をあくまでも穏やかに見つめた。 「そんなん、嫌に決まってるやん」 「え……」 あっさりと答えられ、ロマーノは虚を突かれたようにスペインを見返した。 「嫌に決まっとる。ロマーノがおらんようになったら俺はめっちゃ寂しいし。お前は俺の一番大事な子分やねんし、そんなん当たり前やろ?」 「お……俺は、今でも名目上はお前の保護国だぞ。お前が駄目だって言えば」 「それはもっと嫌やなあ。ロマーノと喧嘩すんのは、寂しいだけやなくて痛いし哀しいもんなあ」 「………」 「だから、俺は何も言わへん。言われへん。決めるんはお前や、お前はどうしたいん?」 ロマーノは何故か、本当に泣き出しそうな顔をした。 「………何でだよ」 「何が?」 「お前……昔俺がオーストリアんとこ連れてかれたときは条約違反してまで連れ戻そうとしたくせに、何で今回はそんな物わかりいいんだよ」 スペインは苦笑する。 「ひとのもんになんのと自分ひとりで出てくっていうのとでは違うしなあ……。それに、ずーっとバラバラやった兄弟が、やっと一緒になって力合わせてやっていこうっていうんやろ? そうできるんなら、そうした方がええって」 「そんなの……上手く行くかどうかも分かんねえのに」 『大丈夫やって。ロマーノもイタちゃんもめっちゃええ子やねんから、ちゃんと仲良うやっていけるって」 「……………」 スペインは微笑みながら、俯いた子分の頭を撫でた。これくらいは許されるだろう。 「………俺は」 「うん」 「ヴェネチアーノと一緒に行く」 「……うん」 「これからどうなるか全然分かんねえけど。俺は……ひとりで生きてきたことなんてほとんどないから、本当に何にも出来ないけど」 「そんなことはないと思うで?」 「それでも……自分の力で、生きていけるようになりたい」 「うん。がんばり」 スペインは笑う。 「別に独立したって二度と会えんようになるわけやなし、いつでも遊びにおいで。俺も行くから、な?」 「………うん」 「元気でな」 「うん……」 子どものように頷く子分に、スペインはもう一度笑いかけてみせた。 「大丈夫や。お前らは大丈夫や。胸張って行き」 「……うん。それじゃ」 「がんばりな。俺はもう、何にもしてやれんけど」 「……いらねーよ、独立すんのにそんなもん! じゃあな!」 身を翻した子分の背を、スペインは黙って見送った。 「───兄ちゃん!」 駆け寄ってくる足音とその声に我に返った。飛びかかるように抱きつかれて、抵抗もせずにそのまま立ち尽くす。半泣きの弟の声が耳元で聞こえる。 「兄ちゃん、兄ちゃん、兄ちゃん……」 「………」 「ごめんね兄ちゃん、わがまま言ってごめんね、……でも、やっぱり、やだ。兄ちゃんと一緒でなきゃやだ。ひとりで出てくのもひとりで残るのもやだ!」 「……………」 「ね、お願い、俺、兄ちゃんと一緒に行きたい」 「…………うん」 ロマーノは頷く。抱きつかれていて見えないけれど、ヴェネチアーノが顔を輝かせたのがはっきりと分かった。 「ほんと? ほんとに、兄ちゃん?」 「ああ。俺も決めたから。ちゃんと、自分で決めたから」 「〜〜〜、よかったあ……、よかった……!」 弟は半分涙声になりながら、ますます強く兄を抱き締める。 「嬉しいよー、兄ちゃん大好きー」 「……お前って、ほんと、訳わかんねえ奴だよな……。俺なんかと一緒になってもいいことないってのに」 「そんなことないもん、俺、兄ちゃん好きだもん。それに、兄ちゃんの作ってくれるごはんすっごく美味しいし」 「そんな理由かよ」 ほんの僅かだけれど、笑うことができた。 「───だから、ね、一緒に行こう?」 「…………うん。行こう」 ロマーノはおそるおそる両手を上げた。物心つく前に引き離されて、千年以上の間ろくに顔を合わせたこともなかった弟の、数えるほどしか触れたことのない身体を、ためらいながら抱き締めた。 「一緒に、行こう」 嬉しいのか哀しいのか分からない涙が一筋、頬を伝った。 この後『マメリに捧ぐ』に続く、と。 統一にこだわったのはヴェネチアーノの方。見ようによってはいきなり乗り込んで「統一しよう! 統一統一統一!」と主張しまくり、「は? 統一? 何で???」と呆然としているロマーノを無理矢理引っ張ってったとすら取れる……。(笑) その結果、現在未だに解決されない南部問題があるわけですが(だいぶマシになってきてるとも聞きますけどね)、まあ頑張ってください…。 南部にもカルボナリ党とかあったのでロマーノも独立したくなかったわけではないと思いますが、西ローマ帝国の滅亡以来同じ国だったことのない弟と統一、という発想は兄の方にはなかったっぽいです。マッツィーニもガリバルディもカヴールも北の人ですしね。 頭撫でただけのスキンシップですが、これでスペロマと言い張ってみる。 PR |
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