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ベトナムさんは女の子ですかっ!(そこに食いつくな)
ということは、彼女は強いんですね。ベトナムはイタリアと同じで(笑)、女が強くて男がヘタレな国だと聞いたことがありますよ。
そうやってバランスが取れるらしい。ほんとか。

・・・アオザイっていいよね! 


以下、修行の一環で書いてみた短編。
NOVELに上げてる某作品の外伝みたいな感じです・・・って、こんなことを書かねばらなん時点でダメだよ自分・・・。
あ、暗いです。ご注意を。

 『永訣』

「いいえ」
 もうほとんど見えてはいないだろう目で、それでも真っ直ぐに俺を見つめて微笑みながら彼女は言った。
「……しかし」
「いいえ。……これでいいの。最後のわがままよ、聞いて頂戴」
「最後だなんて───」
「最後よ。分かるわ、それくらい」
「………」
 彼女は微笑む。確実に弱くなっていく息の元、苦しくないはずはないだろうに、それでも微笑む。
「だから……ここにいさせて。他の場所にはいたくないわ。……ここが、わたしに最も相応しい場所なのだと、最後に信じさせて」
「そんな……、そんなことは、当たり前じゃないか」
「………そう? 貴方に言ってもらえたならきっと本当ね……。嬉しいわ。わたしは幸せね」
 どうして、
 どうして彼女は笑えるのだろう。
「………泣いているの?」
「……………」
「泣かないで、という権利はわたしにはないわね。でも、そこで立ち止まっては駄目よ」
「え……」
「ああ、こんなことは言わなくても大丈夫ね。貴方は強いもの、こんなことで道を間違えたりしないわね。ごめんなさいね、歳を取るとお節介になってしまって」
「…………っ、分かってる、そんなこと───これまでにだって、何度も何度も───」
 ───そうだ。上司や国民の死なんて、もう数え切れないほど立ち会ってきている。そんなことは当たり前だ、彼らはせいぜい数十年しか生きられない人間で、俺は国だ。不老でも不死でもないけれど、彼らに比べれば永遠に近い時を生きている。
 そんなことは分かり切っている。泣いたことなんて一度もなかったのに。
「……そうね。そうよね。あなたは大丈夫よね───ねえ、貴方は私よりも、ずっとずっと強いもの」
 彼女は笑う。幼い子どものように純粋に、女神のように気高く、母のように優しく、彼女は笑う。
「……強くなりたかったわ。強くなればひとりぼっちでも寂しくないと、ずっとそう信じていたわ。でも、本当はわたしはずっとひとりぼっちなんかじゃなかったのね……」
「俺は───」
「貴方がいたわ。どんなときにも貴方がいたわ。わたしは世界一幸せね……だから、これでいいの」
「……エリザベス、俺は」
「これで、いいの。ここにいさせて……。ここに、貴方のそばに───女王として、貴方の妻として、最後まで……ここに」
「………っ!!」
 彼女は微笑む。その笑顔がかすむ。
 嘘だ。俺が彼女よりも強いなんて嘘だ。俺には、死にゆく自分を前に笑うことなんて絶対に出来ない。
「ありがとう。貴方で良かった。わたしは、本当に、世界一幸せね……」
 彼女は微笑む。笑みは消えぬままにまぶたが静かに落ち、力を失った身体が傾いた。
「ベス!」
 俺は反射的に手を差し伸べ、その身体を受け止める。彼女が望むならばその望みのままに。最後まで、この玉座の上に───
 彼女は微笑む。そして、最初で最後の抱擁の中、俺は確かにその言葉を聞いた。
「愛しているわ───イングランド」
 涙にかすむ視界の中で、もう二度と話すことはなくなった唇は、永遠に消えることのない笑みを浮かべていた。



エリザベス一世は亡くなるとき、廷臣たちの反対をおして最後まで玉座に座り続けたそうです。
私はよほどこの人が好きらしい。

お読みいただき、ありがとうございました。
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