2007年3月スタート
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ベトナムさんは女の子ですかっ!(そこに食いつくな)
ということは、彼女は強いんですね。ベトナムはイタリアと同じで(笑)、女が強くて男がヘタレな国だと聞いたことがありますよ。 そうやってバランスが取れるらしい。ほんとか。 ・・・アオザイっていいよね! 以下、修行の一環で書いてみた短編。 NOVELに上げてる某作品の外伝みたいな感じです・・・って、こんなことを書かねばらなん時点でダメだよ自分・・・。 あ、暗いです。ご注意を。 『永訣』 「いいえ」 もうほとんど見えてはいないだろう目で、それでも真っ直ぐに俺を見つめて微笑みながら彼女は言った。 「……しかし」 「いいえ。……これでいいの。最後のわがままよ、聞いて頂戴」 「最後だなんて───」 「最後よ。分かるわ、それくらい」 「………」 彼女は微笑む。確実に弱くなっていく息の元、苦しくないはずはないだろうに、それでも微笑む。 「だから……ここにいさせて。他の場所にはいたくないわ。……ここが、わたしに最も相応しい場所なのだと、最後に信じさせて」 「そんな……、そんなことは、当たり前じゃないか」 「………そう? 貴方に言ってもらえたならきっと本当ね……。嬉しいわ。わたしは幸せね」 どうして、 どうして彼女は笑えるのだろう。 「………泣いているの?」 「……………」 「泣かないで、という権利はわたしにはないわね。でも、そこで立ち止まっては駄目よ」 「え……」 「ああ、こんなことは言わなくても大丈夫ね。貴方は強いもの、こんなことで道を間違えたりしないわね。ごめんなさいね、歳を取るとお節介になってしまって」 「…………っ、分かってる、そんなこと───これまでにだって、何度も何度も───」 ───そうだ。上司や国民の死なんて、もう数え切れないほど立ち会ってきている。そんなことは当たり前だ、彼らはせいぜい数十年しか生きられない人間で、俺は国だ。不老でも不死でもないけれど、彼らに比べれば永遠に近い時を生きている。 そんなことは分かり切っている。泣いたことなんて一度もなかったのに。 「……そうね。そうよね。あなたは大丈夫よね───ねえ、貴方は私よりも、ずっとずっと強いもの」 彼女は笑う。幼い子どものように純粋に、女神のように気高く、母のように優しく、彼女は笑う。 「……強くなりたかったわ。強くなればひとりぼっちでも寂しくないと、ずっとそう信じていたわ。でも、本当はわたしはずっとひとりぼっちなんかじゃなかったのね……」 「俺は───」 「貴方がいたわ。どんなときにも貴方がいたわ。わたしは世界一幸せね……だから、これでいいの」 「……エリザベス、俺は」 「これで、いいの。ここにいさせて……。ここに、貴方のそばに───女王として、貴方の妻として、最後まで……ここに」 「………っ!!」 彼女は微笑む。その笑顔がかすむ。 嘘だ。俺が彼女よりも強いなんて嘘だ。俺には、死にゆく自分を前に笑うことなんて絶対に出来ない。 「ありがとう。貴方で良かった。わたしは、本当に、世界一幸せね……」 彼女は微笑む。笑みは消えぬままにまぶたが静かに落ち、力を失った身体が傾いた。 「ベス!」 俺は反射的に手を差し伸べ、その身体を受け止める。彼女が望むならばその望みのままに。最後まで、この玉座の上に─── 彼女は微笑む。そして、最初で最後の抱擁の中、俺は確かにその言葉を聞いた。 「愛しているわ───イングランド」 涙にかすむ視界の中で、もう二度と話すことはなくなった唇は、永遠に消えることのない笑みを浮かべていた。 エリザベス一世は亡くなるとき、廷臣たちの反対をおして最後まで玉座に座り続けたそうです。 私はよほどこの人が好きらしい。 お読みいただき、ありがとうございました。 PR |
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