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ご本家様五周年おめでとうございます!! すごいなー!!

その祝いに登場したのがあの夫婦で、しかも禍々しくなってとても可愛かったです。(え)
花たまごは正義ですね。



米争奪戦の怒濤の萌えに、以前地名ネタを調べていたときに見つけてたいそう萌えたネタが再燃したので一気書きしました。短文久々だわ。続きからどうぞ。


以下拍手お返事です! ありがとうございます!!


>5月26日11:46の方

ありがとうございます! そう言っていただけると何よりの光栄です!
兄サイドも実はかなり書いてみたいです。こいつらは本気で自慢合戦になりそうですが。(笑)
ではでは。またのお越しをお待ちいたしております!







『Philadelphia』


その町の名は『兄弟愛』という。

おかしな響きの名前だな、と思ったから素直にそう言ったら、名付けた人間は苦笑して、しかし誇らしげに胸を張ってそう答えた。
「兄弟愛?」
「そう、ギリシャ語で兄弟愛の町。素晴らしい名前だろう?」
「……よく分からないぞ」
人間ではない彼にはそんなものは実感が持てなくて、素晴らしいと言われても首を傾げることしかできなかった。けれどその人はそんな気のない態度に怒るでも呆れるでもなく、優しく教えてくれた。

───あのひとのいる土地から海を越えて、この大陸へ来てくれた人だった。

「兄弟とは、別に実際に血の繋がった兄弟だけではないんだよ。全ての人は父なる神の下に生まれた兄弟なのだから」
「きょうだい……なの? みんな?」
「そう」
「みんな、みんなそうなの? あそこで働いてる人たちみんな?」
「そうだよ。ここから見える者たちだけではない、この地球の上の全ての人は兄弟なのだよ」
「地球の全て……? じゃあ……海の向こうのひとたちもそうなの? イギリスも、兄弟なの?」
「もちろん。あの大西洋の向こうのイングランドも、この大陸の先住民も皆兄弟だ。海も砂漠も、どれほどの距離もこの絆を断つことなどできないんだよ。この町の名は、そんな愛を意味しているんだ」
素晴らしいだろう? 彼はそう言って微笑んだ。
「坊や。君には兄弟はいるかい?」
「兄弟……なのかな。兄さんみたいなひとならいるけど」
「じゃあ、君はその兄さんのことが好きかい?」
アメリカは目をぱちぱちさせて、それから力一杯頷いた。そんなこと、当然じゃないか!
「好きだぞ! ほんとの兄さんじゃないけど、すごく強くて優しくて何でも知っててかっこいいんだ! 大好きだぞ!」
「それはいいことだ。そう、君が兄さんを好きだと思う、その気持ちが兄弟愛だよ。そんな気持ちを、全ての人々に抱くことができれば、この世は天国になる」
「…………」
「私はこの新天地にそんな町を築きたい。この大陸は無限の夢と可能性を秘めている、きっとその願いも絵空事ではないと思えるんだよ」
やっぱり、よくは分からなかった。だってイギリスのことを好きなように他の誰かを好きになるなんて想像ができない。そんなこと、できるんだろうか?
「それが───この新しい大地にかけた、私の望みだ」
けれどその人の瞳は本当に綺麗で真っ直ぐで、あんな風に世界を見ることができるのはきっとすごくいいことなんだと、そのときアメリカは思ったのだった。
そして───



この町の名は『兄弟愛』。英領北米植民地の中心地として発展し、栄え、そして今───戦いの中で新しい国の中心になろうとしている。
あの人は───世界中の人を兄弟として愛そうと願ったあの人は、今のこの町を見たら何と言うだろう。愛するべき兄弟であるはずの人を敵と呼び、彼らと自分たちの血の上に自由を掴み取ろうとしている人々を見たら、何と言うだろう?

ねえウィリアム。俺にはできなかったよ。世界中の人を愛するためには、特別に大好きなひとがいちゃいけないんだね。
ねえ。兄弟愛って、何て難しいんだろう。大切なひとを、ただ好きだと思う気持ちのはずなのに───

海の向こうの兄と、彼は袂を分かった。戦いの行く末がどうなろうと、この意志はもう揺るがない。
さよなら、兄さん。結局そう呼ぶことはなかったけれど。
さよならイギリス、俺は君への想いよりも大きな兄弟愛を選ぶ。俺はヒーローになるから、誰かひとりを特別に好きでいることはできないんだよ。さよなら兄さん。ありがとう。大好きだったよ──────


アメリカは顔を上げ、自分と同じ希望を抱いた人々に向かってその言葉を告げる。
それは新しい国の産声であり、誰よりも愛する兄への訣別であり、そして彼の誇りそのものだった。

「我々は、次の真理を自明のものとして認める──────」

<了>



フィラデルフィアです。クリームチーズではありません。フィラデルフィア実験とかも関係ありません。
ちびめりかと話してるのは、この町を築いたウィリアム・ペン。イングランド人です。この人の生涯もなかなか壮絶なのですがそれはともかく、フィラデルフィア(兄弟愛の町)とは彼が自分の理想を込めて名付けた名前なのでした。
ていうかまあ、「アメリカが独立宣言をした町の名前が『兄弟愛』」に禿げるほどに萌えた産物なのは見りゃ分かりますね。
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