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えー、ちょっとあの声に正気でいられません。かっかっかわえええええ!!!
しかも何あのナチュラルな黒っぽさ!(笑) 眺めてるんだ・・・どんなふうにだろう・・・(妄想です)
洪さんの騎馬民族時代の顔がちらりと脱線してのぞいていましたが、ああああああとにかくたまらねえ。

あの、もしかして、これからカウントダウンって毎日この調子・・・? 発売前に死にそうなんですが、私・・・。


げんとーしゃのカウントダウン、威張ってるけどよく見ると小動物に懐かれているイギイギを攫って帰りたいのは私だけではないと思います。ちくしょうこの男は何でこう!(笑)


えー・・・・更新が滞って申し訳ないので、ものすごく久しぶりに短文です。突発的に書いたけど、前からやりたかった歌ネタ(またか)。
ふつえいなのかえいふつなのか・・・?
変な雰囲気なのでお気をお付けください。







『スカボロー・フェア』


スカボローの市へ行くの?
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム
あそこに住んでいるあの人によろしく言っておいて───


「あの人に伝えて、亜麻布の服を作ってと───パセリ、セージ、ローズマリーにタイム───」
変な歌だよなーと、俺は呟く。意味なく繰り返されるハーブの名前もそうだが、この歌詞も意味があるんだかないんだか。
そう言うと、目の前の腐れ縁男は刺繍の手を止めようともせずに気のない口調で言った。
「民謡なんてそんなもんだろ」
「そりゃそうかもしれないけどさ。理不尽なこと言ってるよなこれ」
亜麻布の服を作ってちょうだい。糸も針も使わずに。んな無茶な、である。
この歌はずっとこんな調子なのだ。かつて恋人だったという相手に、不思議なくらいにとんでもない無茶を要求している。その服を向こうの泉で洗ってちょうだい、あそこでは水も湧かず、雨の一滴も降っては来ない。一エーカーの畑を作って、海と砂浜の間に。その土地を羊の角で耕して、一粒の胡椒を全体に蒔いてちょうだい───
───そうしたらあの人は私の恋人。

なんつーか、無理難題過ぎて腹も立たないと言うか、もはや意味が分からないと言うか───こんなことを言って許される奴(歌詞からして、男女どちらでもあり得る。heとsheを入れ替えれば良いだけだ)ってのはどんなものなんだろうか。どっちにしても某大英帝国様並の暴君だという気がするが。
「───かぐや姫って知ってるか?」
唐突にイギリスは言った。さっきからこちらを見ようともせずに刺繍を続けているが、一応話に付き合う気はあったのだろうか。
まあ、暇だからっていきなり押しかけて無駄話をしているこちらに文句を言う筋合いはないんですけどね。紅茶は出してくれたしな。出してくれただけで、その後は客放置してひたすら刺繍に没頭しているが。半ば無意識になのだろう、手を動かしながら口ずさんだ歌に乗ってみたわけだが……会話は弾んでいるとは言いがたい。
「……は? 何だって?」
「かぐや姫。日本の家の───昔話なのかな。千年くらい前から伝わってるんだと。嫌な求婚者を退けるために、無理難題をふっかける女の話」
「あー……聞いたことあるかも」
というかイギリスの説明には問題があると思う。植物から生まれる美女というロマン溢れる設定の方をもっと評価しろよ。好きだろそういうの? あと確か、あのヒロインは月の世界からやってきたって話じゃなかったか。ますます好きだろそういうの。
「この歌もそういうことだってか?」
「かもな」
真剣に主張する気はなかったらしく、自分で振っておいてイギリスは気のない相槌を打つ。緑の瞳はひたすら手元を見つめている。信じられないほど細やかに針が動き、緑の糸が布の上を舞うかのようだ。
器用なんだよなあ、こいつ。これでどうして料理だけはあそこまで壊滅的な腕なのか、長い付き合いながら俺はいまだにさっぱり理解できません。
「Are you going to Scarborough Fair?  Parsley,sage,rosemary and thyme───」
その唇がかすかに動き、美しいメロディを紡ぐ。目の前で歌っているのに、どこか遠いところから聞こえてくるような不思議な響き。
「Remember me to one who lives there; He once was a true love of mine. ……」
スカボローの市へ行くの? パセリ、セージ、ローズマリーにタイム───あそこに住んでいるあの人によろしく言っておいて。あの人は昔私の恋人だった───。
───不思議な歌だ。確かに、深い意味なんか無いのかもしれないけど。
「亜麻布の服を作ってちょうだい───針も糸も使わずに」
俺はイギリスを見やる。
「なあ……、もしもそんなことを言われたらどうする?」
「殴る。つかそんなことほざくような奴知らねえ」
…………。そうでしたこいつはこういう奴でした。
「でも───」
「え?」
「………」
イギリスはこちらを見ようとしないので、何を言いかけたのかは読み取れなかった。
……ま、そりゃそうだろう。こいつはこういう性格だ、自分を遠ざけるために無茶を言われているのだと思えば、本当に二度と近寄らなくなるに違いない。理不尽な要求は単にそういうことなのかもしれないが。
「Tell him to make me a cambric shirt.  Parsley,sage,rosemary and thyme.───Withaout any seam or needlework. ………」
糸も針も使わずに亜麻布の服を作って。水も湧かず、雨も降らない泉で服を洗って。海と砂浜の間に、一エーカーの畑を作って。羊の角で耕して、一粒の胡椒を全体に蒔いて。革の小鎌で刈り取って、四十雀の羽で束ねて。全部をひとつの袋で、蝶の背中に乗せて家に運んで。そうしたら───
何か、イギリスだったらできなくもなさそうな気がしてくる。日本のかぐや姫が望まぬ求婚者たちに要求したのはこの世には存在しない宝物だったそうだが、こっちは何だかもっとファンタジックっていうかメルヘンティックっていうか……いや物理的に不可能なのは間違いないんだけど。
スカボローに住んでいるのは誰なんだろう───

「───あ」
「ん?」
思い出した。さっきから何か言おうと思っていて、何を言えばいいのか言葉が上手く出てこなくて困っていたのが、ようやく思い出した。

「……なあ。もしも、やるって言われたらどうする?」

「は?」
イギリスは刺繍糸を切りながら初めて顔を上げた。完成したのだろうか。
その瞳を見ながら、俺は訊く。
「こんな無茶苦茶なこと、実際にできるわけないのは分かり切ってるけどさ、それでもお前に頼まれたんならやりたいって言われたら……どうする?」
「───………」
イギリスは大きくひとつ瞬きすると刺繍枠から外した白いハンカチーフらしいものにちらりと視線を落とし、いきなりそれを丸めると俺の顔めがけて投げつけてきた。
「うわっ! 何を……」
反射的に受け止めると、鮮やかな緑色の刺繍が目に入る。お得意の花ではなく、これは───香草?
パセリ、セージ、ローズマリーにタイム。図案化されていても種類がはっきり分かる、見事な刺繍だ。ああ、これを縫っていたからあんな歌を歌っていたのか……。
って、何なんだこれ。ひょっとしてくれるの? いや嬉しくないわけじゃないけど、どういう風の吹き回しで───
困惑しながら隣国を見やる。イギリスはかすかに唇を動かし、最後のフレーズを口ずさむ。
「Then he'll be a true love of mein───」
緑の瞳が俺を見ている。

<了>

雰囲気で読んでください。(殴) これ何? ふつえい? えいふつ? 
スカボロー・フェア大好きです。あの不思議なメロディがいい。歌詞も奥が深いですよね。要するに使いたかっただけです……
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